リーダーからシステム管理者に至るまで、IT 運用チームはかつてなく多くの要求に直面しています。To Do リストにはしなければならないことが山積しており、おそらくエンタープライズ・オペレーティングシステム (OS) のアップグレードなどは見ないふりをしておきたい項目でしょう。
エンタープライズ規模で OS を変えるというのは、極めて大きな作業です。しかし、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 7 を使用している場合、これは必須です。RHEL 7 は、2024 年 6 月 30 日にメンテナンス終了を迎えました。
エンタープライズ OS の交換が難しいことで二の足を踏んでいるのであれば、特に RHEL 8 や RHEL 9 にするのなら、思っているよりは簡単にできる可能性があります。これは移行ではなくアップグレードであり、Red Hat はそのために役立つツールを複数提供しています。
これらのツールについて説明する前に、なぜ今アップグレードを検討すべきなのかを見てみましょう。
RHEL 7 は 2014 年にリリースされた時点では最先端のものでした。その後も着実な更新により、お客様のニーズに対応できる状態を維持してきました。しかし、より先進的なプラットフォームを使用すれば、より効率的に運用することができます。
RHEL 9 は先進的なハイブリッド IT のために作られた OS です。人工知能 (AI) をはじめとする複雑なワークロードを、データセンターからクラウド、エッジまで一貫して実行するには、これらすべての環境にわたって安定性が必要です。RHEL 9 は標準化および一元化された管理エクスペリエンスと共に、安定性を提供します。
具体的には、新しいバージョンの RHEL では次のことが可能です。
- 任意の RHEL イメージを構築できる:カスタム OS イメージを効率的に組み上げられるので、最新のコンテンツとセキュリティアップデートのうちどれを適用するかを選択できます
- Linux カーネル 5.14 と新しいツールによる優れたパフォーマンス:RHEL 9 はアップストリームバージョンの Linux カーネル 5.14 に基づいており、重要なワークロードのパフォーマンスが向上します
- 信頼性の高いエッジ運用:RHEL 9 はワークロードのレジリエンシー (回復力) の向上に加え、多くのセキュリティ機能を提供します。また、エッジシステムの運用につきものの複雑性を単純化します
- 先進的なアーキテクチャの採用:RHEL for ARM は ARM アーキテクチャでエンタープライズ Linux 機能を提供し、より信頼性の高い高性能プラットフォームと、物理、仮想、およびクラウドにわたって一貫したアプリケーション環境を提供します
- システム全体の可視性:Red Hat Insights は予測分析を使用して環境を評価し、運用リスクとセキュリティリスクを特定して優先順位を付け、運用を単純化します。また、ハイブリッドクラウド・デプロイメント全体でサブスクリプションを追跡できるようにし、強化されたサブスクリプション追跡によって RHEL インスタンスの管理を効率化します
- ニーズに合わせてアプリケーションスタックを構築:更新されたデータベース、Web サーバー、アプリケーション・フレームワークに新しい機能や性能が追加されると、要件に最適な一般的なアプリケーションと言語ランタイムのバージョンを選択できます
- ライフサイクル管理の効率化:RHEL サブスクリプションは柔軟かつ安定したライフサイクルの選択肢を提供し、ビジネスとセキュリティの要件により適切に対応できるようにします。サポートされている複数のバージョンから選択し、自社のスケジュールに合わせてアップグレードし、適切なペースで新機能を導入できます
- アップストリーム・コミュニティおよび Red Hat パートナーと連携:RHEL 9 では、CentOS Stream が RHEL リリースパイプラインの一部になりました。CentOS Stream のコードが RHEL の次のマイナーリリースになるので、CentOS Stream を通じて RHEL に直接貢献したり、新しいリリースの前にワークロードをテストしたりできます
安心も得られます。RHEL のメジャーリリースのライフサイクルは 10 年間で、これには 5 年間のフルサポートが含まれ、期間中はバグ修正、セキュリティパッチ、ソフトウェアの機能拡張、ハードウェア対応、バックポートが年 2 回のマイナーリリースを通じて提供されます。マイナーリリース間にも、必要に応じてアップデートがロールアウトされます。
RHEL 製品のライフサイクルの後半 5 年間にも、引き続き重要なセキュリティアップデートと緊急のバグ修正が提供されます。最新バージョンの RHEL を選択することで、長期間の使用を前提に構築された信頼性の高い基盤で標準化できます。
複数のアップグレード方法のどれを選んでも、適切なツールとその使用方法を熟知しているエキスパートのガイドにより、短時間で簡単にアップグレードできます。Leapp ユーティリティを使用すると、面倒な再インストール作業を行わずに、RHEL の新しいバージョンにアップグレードできます。Leapp は現在の設定をそのまま維持し、対象マシンのサブスクリプション情報も保持します。また、途中でサポートが必要になった場合、いつでも Red Hat コンサルティングサービスをご利用いただけます。
選択肢はアップグレードだけではありません。今年の初め、Red Hat は RHEL 7.9 ユーザーがライフサイクルサポートをさらに 4 年間延長できるようにしました。今後の記事で、延長ライフサイクルサポートのメリットとデメリット、および利用方法について詳しく説明します。
執筆者紹介
Gil Cattelain is Principal Product Marketing Manager for Red Hat Enterprise Linux. Cattelain has more than 20 years’ experience as a leader in high-tech software product marketing with a proven track record of managing major product releases and go-to-market strategies. Prior to Red Hat, Cattelain held product marketing leadership roles at Micro Focus, Novell, and Genesys, focusing on the endpoint management and DevOps/agile solutions, including digital marketing for the contact center market.
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