Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル

概要

Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9 および 10

Red Hat は、お客様、パートナー様、ISV、および Red Hat Enterprise Linux エコシステムにとってのライフサイクル計画の重要性を理解しています。Red Hat Enterprise Linux バージョン 8 の導入により、Red Hat は RHEL 製品フェーズを 4 段階から、フルサポート、メンテナンスサポート、および延長ライフフェーズの 3 段階に簡素化しました。また、リリース予定日および延長サポートを提供するマイナーリリースに関する情報も提供しています。

  • Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9 および 10 では、フルサポートフェーズおよびメンテナンスサポートフェーズ (10 年間のライフサイクル) と、その後の延長ライフフェーズを提供します。

ライフサイクル iv:

RHEL の製品フェーズ

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクルフェーズは、各メジャーリリース i における変更の度合いを時間とともに減らし、リリースの提供時期や内容をより予測しやすくすることを目的としています。ii

詳細情報

各メジャーバージョンのライフサイクル期間中、Red Hat Enterprise Linux へのソフトウェアの変更は、エラータアドバイザリー と呼ばれる個別のアップデートとして、Red Hat カスタマーポータル から、または他の Red Hat 認定ポータルから提供されます。エラータアドバイザリーは、必要に応じて個別にリリースされるか、マイナーリリースとしてまとめて提供されます。エラータアドバイザリーには、セキュリティー修正 (RHSA: Red Hat Security Advisory)、バグ修正 (RHBA: Red Hat Bug Fix Advisory)、または機能強化 (RHEA: Red Hat Enhancement Advisory) があります。エラータアドバイザリーは、アクティブな Red Hat Enterprise Linux のメジャーリリースに対してテストと評価が行われます。(たとえば、Red Hat Enterprise Linux 10 の RHSA は、最新の Red Hat Enterprise Linux 10 バージョンとパッチセットに累積的に適用されます。)サブスクリプションを契約しているお客様は、Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル期間中、リリースされているエラータアドバイザリーをご利用になれます。Red Hat Enterprise Linux の各メジャーリリースでは、(マイナーリリースの一部としてリリースされたものを含む) すべてのエラータアドバイザリーが、任意のパッチセットを含む Red Hat Enterprise Linux の最新リリースに累積的に適用されます。

Red Hat Enterprise Linux のメジャーリリースのライフサイクル期間中、Red Hat は商業的に妥当な範囲内で、すべてのマイナーリリースとエラータアドバイザリーで、コアランタイム環境用のバイナリー互換性の維持に努めています。ただし、必要に応じて、重大な影響を及ぼすセキュリティー問題や、その他の重要な問題に対処するために、Red Hat はこの互換性維持の原則を遵守できない場合があります。また、Red Hat Enterprise Linux のメジャーリリースには、アプリケーションの移行を容易にするために、以前のメジャーリリースに含まれる下位互換性ライブラリーの限定セットが含まれます。通常、Red Hat は、変更する内容を最小限に抑えて、バイナリー互換性を維持するようにします。ただし、特定の状況で管理対象パッケージのベースバージョンが変更した場合は、例外が適用されることがあります。バイナリー互換性の目標は、アプリケーションコンテナー内で使用される Red Hat Enterprise Linux にまで拡張されます。その他の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 8: アプリケーション互換性ガイドRed Hat Enterprise Linux 9: アプリケーション互換性ガイド、および Red Hat Enterprise Linux 10: アプリケーションの互換性ガイド を参照してください。

次の表では、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクルの各フェーズ時に行われる、サポートやソフトウェアの保守を含むサブスクリプションサービスを詳しく説明します。

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル
説明 フルサポート メンテナンス
サポート
延長ライフフェーズ 6 Extended Life Cycle Support (ELS) アドオン7 Extended Update Support (EUS)
アドオン 7

Enhanced Extended Update Support (Enhanced EUS)
アドオン 7
Red Hat カスタマーポータルから以前にリリースされたコンテンツへのアクセス はい はい はい はい はい
Red Hat カスタマーポータルを利用したセルフサポート はい はい はい はい はい
テクニカルサポート 1 無制限 無制限 制限あり8 無制限 無制限
非同期セキュリティーエラータ (RHSA)9 10 はい はい いいえ はい 7 はい 7
非同期バグ修正エラータ (RHBA)2 10 はい はい いいえ はい はい
マイナーリリース はい いいえ いいえ いいえ いいえ
新しいハードウェアへの対応3 ネイティブ 仮想化を使用 仮想化を使用 仮想化を使用 仮想化を使用
ソフトウェアの機能拡張4 はい5 いいえ いいえ いいえ いいえ
更新されたインストールイメージ はい はい12 いいえ いいえ いいえ
  1. テクニカルサポートへのアクセスは、Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションに記載されているサービスレベルによって異なります。
  2. Red Hat は、バグ修正エラータアドバイザリー (RHBA) を作成する一方で、お客様のビジネスに大きく影響する深刻な問題に対処する一時的な措置として、Hotfix を提供する場合があります。
  3. ネイティブハードウェアへの対応は、該当バージョンの Red Hat Enterprise Linux にハードウェアドライバーをバックポートするなどの形で行います。仮想化を使用したハードウェア対応は、以前のバージョンの Red Hat Enterprise Linux を、新しいバージョンの Red Hat Enterprise Linux で仮想ゲストとして実行することにより行なわれます。詳細は、以下の仮想化の説明を参照してください。注意:(関連するハードウェアの制限を含む) ハードウェア認定は、ホストとして使用される Red Hat Enterprise Linux のバージョンに適用されます。
  4. ソフトウェアの機能拡張とは、問題修正や新しいハードウェアでの既存機能の有効化のほかに、新たな機能を追加することを指します。
  5. メジャーリリースは、重要なソフトウェア機能拡張を提供するための主要な方法です。影響度が低い場合は、マイナーリリースでもソフトウェア機能拡張が提供されることがあります。
  6. 以下の延長ライフフェーズの説明を参照してください。
  7. オプションのアドオンとして、Extended Update Support (EUS)、Enhanced Extended Update Support (Enhanced EUS)、および Extended Life-cycle Support (ELS) が利用できます。以下の EUSEnhanced EUS、 および ELS の説明を参照してください。
  8. サポート対象は、インストール済みの既存システムに限定されます。その他の制限は、以下の詳細を参照してください。
  9. 問題の影響度の分類は、問題の影響度の分類ページを参照してください。
  10. エラータはすべて Red Hat の判断で提供されます。
  11. 更新されたインストールイメージが、最初のマイナーリリースの GA 日に提供されます。

Red Hat Enterprise Linux 運用フェーズ

フルサポートフェーズiv:

フルサポートフェーズでは、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正は、利用可能になり次第リリースされます。その他のエラータアドバイザリーは、必要に応じて提供されます。

新規または改善されたハードウェアへの対応と、一部のソフトウェア機能拡張は、(利用可能な場合) Red Hat の判断により、通常はマイナーリリースで提供されます。ソフトウェアの大幅な変更を必要としないハードウェアへの対応は、Red Hat の判断でマイナーリリースとは別に提供されることがあります。

マイナーリリースには、評価済みの利用可能なエラータアドバイザリー (RHSA、RHBA、および RHEA) も含まれます。マイナーリリースは累積的になっており、以前にリリースされた更新内容も含まれます。このフェーズでのマイナーリリースでは、優先度が「中」以上の不具合の修正に重点が置かれます。

フルサポートフェーズでは、マイナーリリースの更新済みインストールイメージが提供されます。

メンテナンスサポートフェーズ:

Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9、および 10 のメンテナンスサポートフェーズでは、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正は、利用可能になり次第リリースされます。その他のエラータアドバイザリーは、必要に応じて提供されます。

新しい機能と新しいハードウェアの有効化は、メンテナンスサポートフェーズでは提供されません。

延長ライフフェーズ:

Red Hat Enterprise Linux のサブスクリプションをお持ちのお客様は、延長ライフフェーズの期間中、Red Hat カスタマーポータルにアクセスして、これまでにリリースされたコンテンツおよびドキュメントや、Red Hat ナレッジベースなどの他のコンテンツを継続して利用できます。現在サポートされているバージョンの Red Hat Enterprise Linux に移行するためのアドバイスもご覧いただけます。

製品のバージョンが延長ライフフェーズに入ると、Red Hat は限定的なテクニカルサポートを継続して提供します。 このフェーズでは、バグ修正や、セキュリティー修正、ハードウェアへの対応、根本原因の分析などは行われず、サポートは、インストール済みの既存システムに限定されます。

Red Hat は、延長ライフフェーズにある、Red Hat Enterprise Linux の特定バージョンの継続サポートを随時終了させる権利を留保します。

Red Hat Enterprise Linux 8、9、10 のライフサイクル

Red Hat は、Red Hat Enterprise Linux のお客様、パートナー様、および ISV 向けに、今後の予測可能性を提供しています。以下の図は、マイナーリリースの詳細な計画と、どのマイナーリリースに Extended Update Support (EUS) と Update Services for SAP Solutions が含まれるかを示しています。マイナーリリースは、フルサポートフェーズを通じて半年ごとのリリースが計画されています。

RHEL 8 計画ガイドiv

RHEL 8 マイナーリリースライフサイクル

RHEL 9 計画ガイドiv

RHEL 9 マイナーリリースライフサイクル

RHEL 10 計画ガイドiv

RHEL 10 マイナーリリースライフサイクル

Red Hat Enterprise Linux Application Streams ライフサイクル

Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9、10 のパッケージの大部分 (Application Streams のほとんどを含む) は、Red Hat Enterprise Linux の 10 年間のフルライフサイクルで維持されます。ただし、特定のライフサイクルコンポーネントは 10 年未満のサポートとなり、その指定ライフサイクルは、多くの場合、コンポーネントのアップストリームライフサイクルに合わせて設定されます。

アプリケーションストリームは、メジャーリリースの 10 年間のライフサイクルにわたってエラータの基準に準拠します。たとえば、メンテナンスサポートフェーズ中に RHEL 8、9、または 10 の Application Stream 用にリリースされるエラータは、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正に限定されます。同様に、メンテナンスサポートフェーズおよび延長ライフフェーズでは、ソフトウェアの機能強化が許可されていないため、新しい Application Streams はリリースされません。ただし、RHEL の 10 年間のサポート基準を達成するために、メンテナンスサポートフェーズの開始時に、Application Stream ごとに特定のバージョンが選ばれます。この選ばれたバージョンは、そのサポートフェーズで定められたメンテナンスを受けることができます。

たとえば、ほとんどのデータベースはアップストリームでは 5 年間サポートされるため、RHEL 8、9 または 10 における Application Stream のメンテナンスは、アップストリームサポートに合わせて調整されます。RHEL 8 では、PostgreSQL Application Streams が重複しており、各ストリームは 5 年間メンテナンスされます。したがって、お客様のニーズに最適な Application Stream のバージョンを選択していただくことができます。つまり、ユースケースに合わせて、��いバージョンをインストールしたり、新しいバージョンをインストールして 5 年間使用し続けたり、リリースごとに最新のストリームに更新したりできます。更新は必須ではありません。お客様のご都合に合わせて更新することができます。Application Stream で指定されているライフサイクルを超えたサポートが必要な場合は、バグ修正と CVE アドバイザリーを利用するために、新しい Application Stream に移行するように求められる場合があります。

詳細は、Red Hat Enterprise Linux Application Streams ライフサイクル ページを参照してください。

Red Hat Enterprise Linux 延長メンテナンス

Extended Update Support アドオンiii

Red Hat は、期間を延長して特定のマイナーリリースの利用を希望するお客様に、Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションで利用可能な Extended Update Support (EUS) アドオンを提供します。EUS アドオンを使用すれば、新しいハードウェアへの対応サービスなど、Red Hat Enterprise Linux の新機能を利用する時期をお客様が柔軟に決めることができます。

Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションでは、次のマイナーリリースが提供されるまで、現行のアクティブなマイナーリリースで利用可能なすべての RHSA と RHBA が提供されます。一方、EUS は、特定のマイナーリリースに対して、Red Hat が定義する 影響度が「重大」および「重要」ix の RHSA と優先度が「緊急」の一部 (判断は Red Hat による) の RHBA の独立した拡張ストリームを提供します。これらは、特定のマイナーリリースの公開後、後続のマイナーリリースと並行して利用可能です。下記の RHEL 8 および 9 EUS メンテナンスポリシー を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux EUS の各ストリームは、マイナーリリースの公開後 24 カ月間利用できます。

EUS は以下では提供されません:

  • Red Hat Enterprise Linux 8 for Workstations
  • Red Hat Enterprise Linux Desktop (すべての RHEL バージョン)

注記: EUS は、x86-64 Red Hat Enterprise Linux Server の Premium サブスクリプションに含まれています。EUS は、x86-64 Red Hat Enterprise Linux Server の Standard サブスクリプション、Red Hat Enterprise Linux for IBM Power LE、および Red Hat Enterprise Linux for IBM Z サブスクリプションのアドオンとして、購入することができます。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、EUS は次の場合に利用できます。

  • 8.4 (2023 年 5 月 31 日終了)
  • 8.6 (2024 年 5 月 31 日終了)
  • 8.8 (2025 年 5 月 31 日終了)

Red Hat Enterprise Linux 9 では、EUS は次の場合に利用できます。

  • 9.0 (2024 年 5 月 31 日終了)
  • 9.2 (2025 年 5 月 31 日終了)
  • 9.4 (2026 年 4 月 30 日終了予定)
  • 9.6 (2027 年 5 月 31 日終了予定)

Red Hat Enterprise Linux 9 では、EUS は RHEL 9.8 で提供される予定です (上記チャートを参照)。

注記: EUS は、Red Hat Enterprise Linux for Workstations 9 および 10 のアドオンとして購入できるようになりました。

EUS の詳細は、こちらのナレッジベースの記事 を参照してください。

Enhanced Extended Update Support アドオン

Red Hat は、長期間にわたって特定のマイナーリリースで標準化を行うお客様向けに、Red Hat Enterprise Linux アドオンサブスクリプションとして Enhanced Extended Update Support を提供しています。RHEL アドオンの Enhanced Extended Update Support により、お客様は新しいハードウェアの有効化など、新しい Red Hat Enterprise Linux 機能をいつ利用するかを柔軟に決定できます。

Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションでは、次のマイナーリリースが提供されるまで、現行のアクティブなマイナーリリースで利用可能なすべての RHSA と RHBA が提供されます。対照的に、RHEL 向けの Enhanced Extended Update Support は、特定のマイナーリリースを対象とするもので、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正 (対象のマイナーリリースが公開された後、かつ後続のマイナーリリースと並行して提供) の独立した延長ストリームを提供します。下記の RHEL 8 および 9 EUS メンテナンスポリシー を参照してください。

RHEL の Enhanced Extended Update Support ストリームは、マイナーリリースの提供開始から 48 カ月間利用できます。

Enhanced Extended Update Support は、Red Hat Enterprise Linux バージョン 9 および 10 でのみ使用できます。

Enhanced EUS は以下の場合には利用できません。

  • Red Hat Enterprise Linux Server セルフサポートサブスクリプション
  • Red Hat Enterprise Linux Workstation

Enhanced Extended Update Support for Red Hat Enterprise Linux は、x86-64 Red Hat Enterprise Linux Server Standard または Premium サブスクリプション、Red Hat Enterprise Linux for IBM Power LE、および Red Hat Enterprise Linux for IBM Z サブスクリプションのアドオンとして購入できます。

注記: RHEL の Enhanced Extended Update Support は RHEL Premium サブスクリプションには含まれていません。

Red Hat Enterprise Linux 9 では、Enhanced EUS が以下の RHEL で利用可能です。

  • 9.0 (2026 年 5 月 31 日終了予定)
  • 9.2 (2027 年 5 月 31 日終了予定)
  • 9.4 (2028 年 4 月 30 日終了予定)
  • 9.6 (2029 年 5 月 31 日終了予定)

Red Hat Enterprise Linux 9 では、Enhanced EUS は RHEL 9.8 で提供される予定です (上記チャートを参照)。

Red Hat Enterprise Linux 10 では、Enhanced EUS が以下の RHEL で利用可能です。

  • 10.0 (2029 年 5 月 31 日終了予定)

Red Hat Enterprise Linux 10 では、Enhanced EUS は RHEL 10.2、10.4、10.6、10.8 で提供される予定です (上記チャートを参照)。

RHEL 9 EUS および Enhanced EUS の詳細は こちらのナレッジベースの記事 を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux 8 EUS メンテナンスポリシー、および Red Hat Enterprise Linux 9 と 10 EUS/Enhanced EUS メンテナンスポリシー

Red Hat Enterprise Linux 8 Extended Update Support メンテナンスポリシー、および Red Hat Enterprise Linux 9 Extended Update Support/Enhanced Extended Update Support メンテナンスポリシーでは、(a) Red Hat Enterprise Linux バージョン 8 および 9 のアクティブなソフトウェアパッケージのセキュリティー関連の問題、および (b) 以下に詳述する特定のパッケージリストの緊急バグに対応します。

セキュリティーメンテナンス

  • Red Hat は、パッケージがライフサイクル終了を迎えていない限り、Red Hat Enterprise Linux 内のパッケージに対し、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正を提供する場合があります。
  • RHEL 8、9、10 Application Streams 内のパッケージは、特定の RHEL のマイナーリリースよりライフサイクルが短い場合があります。
    • 詳細は、Application Streams ライフサイクルのセクションを参照してください。
  • このポリシーは、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクルポリシーに従って、現行のアクティブなマイナーリリースにのみ適用されます。
  • 影響度が「重大」および「重要」の CVE の定義は、Red Hat セキュリティーポリシー で定義されています。

バグ修正メンテナンス

  • 以下は、「緊急」のバグ修正に適用されるパッケージの最小セットのリストです。
    • bind、bash、chrony、grub2、grubby、glibc、gnutls、httpd、kernel、libgcrypt、libvirt、nss、openssh、openssl、python 3.6 (RHEL 8)、python 3.9 (RHEL 9)、python 3.12 (RHEL 10)、qemu-kvm、rpm、sudo、systemd、wget、yum / dnf
  • リストにない「緊急」のバグは、Red Hat の判断で対処されます。
  • このポリシーは、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクル ポリシーに従って、現行のアクティブなマイナーリリースにのみ適用されます。

注記: アクティブなマイナーリリースとは、特定のマイナーリリースが提供されている期間のことを指します。たとえば、EUS が適用された RHEL 10.0 は、一般提供の開始日から 24 カ月間有効です。

Update Services for SAP Solutions

Red Hat では、期間を延長して特定のマイナーリリースの利用を希望するお客様に、Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions サブスクリプションで利用可能な Update Services for SAP Solutions (E4S) を提供しています。Update Services for SAP Solutions を使用すれば、新しいハードウェアへの対応サービスなど、Red Hat Enterprise Linux の新機能を利用する時期をお客様が柔軟に決めることができます。

Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションでは、次のマイナーリリースが提供されるまで、現行のアクティブなマイナーリリースで利用可能なすべての RHSA と RHBA が提供されます。対照的に、EUS および Update Services for SAP Solutions は、特定のマイナーリリースを対象とするもので、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正 (対象のマイナーリリースが公開された後、かつ後続のマイナーリリースと並行して提供) の独立した延長ストリームを提供します。Red Hat は一般に、EUS および Update Services for SAP Solutions サブスクライバーに対して、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正を引き続きプロアクティブに提供します。これは、お客様のリクエストとは関係なく、利用可能な場合に提供されます。上記の RRHEL 8 および 9 EUS メンテナンスポリシー を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux Update Services for SAP Solutions の各ストリームは、マイナーリリースの公開後 48 カ月間利用できます。

Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions の場合、RHEL 8 では、現在、以下のリリースで Update Services for SAP Solutions が利用できます。

  • 8.6 (2026 年 5 月 31 日終了予定)
  • 8.8 (2027 年 5 月 31 日終了予定、最後の EUS リリース)

注記: RHEL 8.10 は RHEL 8 の最終リリースであり、メンテナンスは上記のポリシー (メンテナンスサポートフェーズ) によって定義されます。RHEL 8.10 での SAP ソリューションの設定に関する詳細は、こちらのリンク を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions の場合、RHEL 9 では、現在、以下のリリースで Update Services for SAP Solutions が利用できます。

  • 9.0 (2026 年 5 月 31 日終了予定)
  • 9.2 (2027 年 5 月 31 日終了予定)
  • 9.4 (2028 年 4 月 30 日終了予定)
  • 9.6 (2029 年 5 月 31 日終了予定)

Red Hat Enterprise Linux 9 では、Update Services for SAP Solutions も RHEL 9.8 で提供される予定です (上記チャートを参照)。

Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions の場合、RHEL 10 では、現在、以下のリリースで Update Services for SAP Solutions が利用できます。

  • 10.0 (2029 年 5 月 31 日終了予定)

Red Hat Enterprise Linux 10 では、Update Services for SAP Solutions も RHEL 10.2、10.4、10.6、10.8 で提供される予定です (上記チャートを参照)。

Extended Life-cycle Support アドオン:

RHEL 6 Extended Life-cycle Support アドオン:

Extended Life-cycle Support (ELS) は、一部の Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションで利用できる、オプションのアドオンサブスクリプションです。ELS アドオンは、Red Hat Enterprise Linux 6 の延長ライフフェーズで利用できます。

Red Hat Enterprise Linux バージョン 6 以降では、Extended Life-Cycle (ELS) アドオン向けに、日付が固定された追加の Long-Life Term が利用可能になりました。これらの日付が固定された延長サポートは、「Term」(Term 1、Term 2 など) として指定された単位で利用でき、「詳細」セクションで説明されている内容のサポートを以下のように暦年末まで提供します。

利用可能な Red Hat Enterprise Linux 6 Extended Life Cycle Support Long-Life アドオンと日付:

  • Extended Life Cycle Support Long-Life アドオン - Term 2 (2024 年 7 月 1 日開始 - 2024 年 12 月 31 日終了)
  • Extended Life Cycle Support Long-Life アドオン - Term 3 (2025 年 1 月 1 日開始 - 2025 年 12 月 31 日終了)
  • Extended Life Cycle Support Long-Life アドオン - Term 4 (2026 年 1 月 1 日開始 - 2026 年 12 月 31 日終了)

Red Hat Enterprise Linux 6 ELS では、Red Hat が定義する影響度が「重大」および「重要」の一部のセキュリティー修正、優先度が「緊急」の一部 (判断は Red Hat による) のバグ修正、およびトラブルシューティングが 最終マイナーリリース に提供されます。

Red Hat Enterprise Linux 6 では、ELS アドオンは IBM z Systems および x86 アーキテクチャー (32 ビットおよび 64 ビット) に対応します。他のアドオン製品は、ELSのサポート対象外です。

お客様のビジネスニーズに対応するソリューションを用いて、Red Hat のインフラストラクチャーのモダナイゼーションを行う最適な方法については、Red Hat コンサルティングにお問い合わせください。

注記: ELS サポートの対象は、RHEL サーバーの Standard または Premium サブスクリプションのみです。 RHEL Desktop または RHEL Workstation のサブスクリプションでは、ELS を利用できません。

RHEL 7 Extended Life-cycle Support アドオン:

Extended Life-cycle Support (ELS) は、一部の Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションで利用できる、オプションのアドオンサブスクリプションです。ELS アドオンは、Red Hat Enterprise Linux 7 の延長ライフフェーズで利用できます。

Red Hat Enterprise Linux 7 ELS では、(最新のマイナーリリースを対象として) トラブルシューティング、Red Hat が Red Hat Security Advisory (RHSA) で定義する CVSS スコア 7 以上の「重大」、「重要」、および「中程度」の CVE、および Red Hat が Red Hat Bug Advisory (RHBA) で定義する「緊急」および「一部の優先度の高い」バグ修正を利用可能になり次第リリースします。その他のエラータアドバイザリーは、必要に応じて提供されます。

Red Hat Enterprise Linux 7 の場合、ELS アドオンは IBM Z および x86 アーキテクチャー (64 ビットのみ) をカバーします。Red Hat Enterprise Linux 7 Extended Lifecycle Support には、Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions、Red Hat Enterprise Linux High Availability アドオン、および Resilient Storage アドオンのメンテナンスも含まれています。

ELS サポートの対象は、RHEL サーバーの Standard または Premium サブスクリプションのみです。 RHEL Desktop または RHEL Workstation のサブスクリプションでは、ELS を利用できません。

注記: RHEL ELS は、ELS 期間の開始日 (RHEL 7 ELS の場合は 2024 年 6 月 30 日) までに購入する必要があります。開始日までに購入しなかった場合、ELS アドオンサブスクリプションは RHEL ELS 期間の開始日まで遡って購入する必要があります。

仮想化

仮想化は、ゲストオペレーティングシステム用にハードウェアを抽象化するものです。抽象化により、最新のサーバーハードウェアをサポートしない旧バージョンの Red Hat Enterprise Linux を実行しているゲストを、最新のサーバーハードウェアをサポートする仮想化ホストに簡単にデプロイできます。これにより、Red Hat Enterprise Linux 7 ゲストは、最新世代のプロセッサー上で Red Hat Enterprise Linux 9 によってホストされることが可能です。

Red Hat は、運用フェーズまたは延長ライフフェーズにある Red Hat Enterprise Linux のバージョンが、そのバージョンより新しいバージョンの Red Hat Enterprise Linux の仮想化ゲストとして実行している場合は、そのバージョンをサポートします。

Red Hat Enterprise Linux の仮想化サポートマトリクス では、サポート対象となっているオペレーティングシステム、バージョン、およびハードウェアアーキテクチャーの組み合わせを詳細に説明しています。

ライフサイクルの日付

「フルサポート終了日」と「メンテナンスサポート 1 の終了日」に記載されている将来の日付はすべておおよそのもので確定していないため、今後変更される可能性があります。

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクルの日付

終了したライフサイクルの日付

今後の更新が提供されない、旧バージョンのメジャー、マイナー、および延長メンテナンスに関するライフサイクルの日付は、https://access.redhat.com/articles/4038291 を参照してください。

その他の関連製品

Red Hat Enterprise Linux for Real Time のライフサイクルの情報については、Red Hat Enterprise Linux for Real Time の製品ライフサイクル を参照してください。

  1. メジャーリリースは整数で表されます (例: Red Hat Enterprise Linux 6)。
  2. Red Hat は、最大��の透明化を図るためにこのライフサイクルを公開しています。ただし、特別な状況下では、このポリシーの例外を認める権利を Red Hat は有します。
  3. EUS アドオンの詳細は、https://access.redhat.com/node/4082531 を参照してください。
  4. ライフサイクルのタイムスパンと日付は、変更される可能性があります。